人はだれしも自分の中に一巻の本をかかえている.
生まれたその日から始めて 一日一日のできごとを
ていねいに ていねいに 書き込んで行く.
見たこと 聞いたこと 感じたこと
後悔や 希望や 感動
まだ字を知らない幼子もその書き方はわかってる.
一日が一頁 一年が一章
人はこれを書き終えて 一度静かに読み返し 光の国への旅に出る.
この本を書き進んで行くと同じ人の名前が何度も出てくるようになる.
友達だ.
これまで書いて来たことを読んで聞かせてみたり
一緒に書いて時を過ごしたり
白い頁の使い方を相談したりするのが
友達だ.
本を書いているうちに困り果ててしまうことがある.
自分がなぜこんなことを書いているのか
どうしてもわからないときがある.
栞をはさんでおいてごらん.
困った時や 苦しい時に
栞の頁を開いてみる.
いつかきっとわかる日が来る.